身長を伸ばす手術を検討されているあなた。もう、大人になって成長期が終わってしまえば、身長は自然には伸びない、というのが定説です。骨格矯正や姿勢の矯正によって少しは伸びるかもしれませんが、見た目に大きく変化があるわけではありません。
だから、身長が低いまま、成長期を終えた人は諦めるしかないのか……というと、そうではありません。現在では、身長を伸ばす手術というものも存在します。幼少期の怪我や病気などが原因で、身長が伸びずに成長期を終えてしまった人や、左右の足の長さが違ってしまったりなど、医学的に処置が必要な人のための手術です。
この身長を伸ばす手術は、上記のような身体的な問題を解消するためだけでなく、病院にもよりますが、美容目的でも受けることが可能です。今回は、そんな身長を伸ばす手術の術式と、病院選びのコツをお教えします。
身長を伸ばす手術、
その方法と自分に合う病院を選ぶコツ
身長を伸ばす術式は2種類
まず、身長を伸ばす手術の種類についてお伝えします。現在、身長を伸ばすために使われている術式は2種類あり、「イリザロフ法」というものと、「ISKD法」というものに分かれます。どちらも足の骨を伸ばす処置をする手術で、主に骨折による足の長さの違いを解消したり、成長ホルモンの異常で起こる低身長症を改善するために用いられます。
2つとも、健康的には問題は無いけれど、見た目を良くしたいという美容目的で行うことも可能ですが、保険が適用外であったり、伸ばせる身長に上限があったりなど、怪我や病気によるものよりも制限があるのが現実です。
身長を伸ばす手術イリザロフ法はどんな方法?
それでは、身長を伸ばす手術イリザロフ法の術式から先にお伝えします。身長を伸ばす手術イリザロフ法は、1950年代と、比較的古くから行われている方法で、まず、骨を手術により切断し、その外側から創外固定具という器具を付けて支え、切断した骨と骨の間が自然治癒によって塞がる作用を利用して骨を伸ばすという方法です。
伸ばすペースとしては、一日1mmずつ伸ばしていくことが可能です。ただ、骨を切断した際の傷口が痛んだり、創外固定具が足の外側に付くため、不便な生活を強いられることもあるようです。
現在では、小さな創外固定具を使用する「デバスチアーニ法」という術式もありますが、イリザロフ法と装具の大きさの違いだけであって、方法としては同じものです。
この術式にはもうひとつデメリットがあり、傷口からの感染症が起こる確率が高いということが挙げられます。これは、手術を行う機関によって発生率が変わるようなので、事前にしっかり手術を行う病院を見極める必要があります。
身長を伸ばす手術ISKD法とはどんな方法?
もう一つの身長を伸ばす手術ISKD法は、イリザロフ法よりも新しい方法です。原理としてはイリザロフ法と同じく、骨の自然治癒力を利用して骨を伸ばすことですが、その伸ばし方に違いがあります。
身長を伸ばす手術イリザロフ法では、外側から骨を固定しますが、このISKD法は、骨の空洞に機械付きの器具を入れ込み、外部からコントローラーで骨を引っ張って伸ばすのです。この方法は、外部に器具が突出することが無いので目立ちにくく、また、痛みもイリザロフ法よりは軽く、感染症のリスクも小さいです。原理は同じまま、イリザロフ法のデメリットを解消したのが、このISKD法と言えます。
ただ、イリザロフ法よりも新しい方法のため、こちらの方が日本国内で施術できる機関は少ないです。しかも、美容目的で手術できる病院は皆無に等しく、海外に手術しに行く人の方が多いようです。
身長を伸ばす手術の共通するデメリット
これらの身長を伸ばす手術方法に共通するデメリットは、まず、術後は足に体重をかけられないため、かなりの不自由を強いられるということです。そして、骨延長自体に時間がかかるため、数ヶ月や一年などの長期間を、松葉杖で過ごす必要が出る場合もあります。
そして、伸ばせるのは足だけのため、全身で見るとバランスが悪くなるというデメリットもあります。通常、手の成長と足の成長は関連性があるため、手が長ければ足も長く、手が短ければ足も短いものです。そこで足だけを伸ばすのですから、見た目に違和感が生じるのは否めません。
最後に、一番重要な、運動能力の問題があります。一般には手術前の7~8割程度しか運動能力が回復しないとされており、日常生活には支障は無いが、趣味でスポーツを楽しんだりする場合は影響が出ることが少なからずあるようです。
身長を伸ばす手術費用と病院選びのポイントも知ろう
ご紹介した2つの身長を伸ばす手術方法は、日本国内では医療目的でのみ承っている病院が多く、美容目的で行っている病院は、国内で数えるほどしかありません。そして、総じて費用が高いです。元々の費用が高いことに加え、保険適用外となるため満額を自己負担しなければならないからです。
病院によって多少の差異はありますが、両足の施術となるとイリザロフ法でも700万円以上、ISKD法では1000万円前後と高額です。それに加えて、入院費用や事前カウンセリング費用など諸々かかってくることになります。
しかし、海外では美容目的の骨延長手術を日本よりも安価で行っている病院が多く、外国語が堪能な人は、海外で手術を受けることもあるようです。費用としては、安いところで100万円からあり、高くても日本ほど高額にはなりません。
ですが、やはり身体にメスを入れるわけですから、不安が無いように詳しい説明を受けたり、不具合が生じた時のサポートを考えると、言葉がわからない国では受けない方が無難です。
このように、高くても安心な日本の病院を選ぶか、安さを求めて海外の病院を選ぶかは、受ける人の予算や語学力、また、長距離の移動や、仕事を長期間休めるか、などのそれぞれの事情を加味して判断するべきでしょう。
いかがでしたでしょうか。身長を伸ばす手術がどういうものか、ある程度知ることが出来たのではないでしょうか。このように、身長を手術で伸ばそうと思ったら、色々なハードルがあるのです。まずはお金の問題、身体的な苦痛、生活の変化など、軽い気持ちで受けられるようなものではありません。しかしながら、コンプレックスというものは、時に人の心に強烈なダメージを与えます。そのコンプレックスから解放されるために、高い出費や大きな面倒も厭わないという人も少なからずいるはずです。
もし、自分の身長に不満があって、そのせいで辛い思いを強いられているようなら、手術を受けるという選択肢もあることを、頭の隅に留め置くと良いでしょう。
まとめ
身長を伸ばす手術、その方法と自分に合う病院を選ぶコツ・身長を伸ばす術式はイリザロフ法とISKD法の2種類
・両方の術式に共通するデメリットがあります
・費用と病院選びのポイントも知ろう